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MMHI plus No.10<ストレスチェック導入 成功と活用のポイント>

MMHI+Banner.png法施行まで半年を切ったストレスチェック義務化。

導入に向けて具体的な検討を本格化させている会社も多いようです。

義務とはいえ、せっかく導入する以上は十分な効果・成果を求めたいもの。

そこで今回は、導入検討に当たって考慮しておきたい

ストレスチェック導入の成功と活用のポイントについて考えてまいります。

 

 

 

 POINT1 事前の周知とコミュニケーション

まず最初に考えなくてはならないことは、事前に従業員に対して、ストレスチェック制度の趣旨や目的、内容について十分コミュニケーションを図り、理解を得ておくことです。
従業員にとっては、会社から通知されるストレスチェックは、「会社が、自らの目的のために行うのではないか、結果を利用するのではないか」と受け取られがちです。それでは従業員の不安や警戒心が生まれ、ストレスチェックへの回答に消極的になったり、質問に対する回答が歪められたりする可能性が大きくなってしまいます。ストレスチェックの位置づけを十分に理解してもらい、安心して積極的に受診してもらえる環境づくりがまず大切です。

 <事前周知のポイント>
 ○ストレスチェック制度の位置づけ(健康診断と同様、法的義務として実施)
 ○目的(各自の気づきを得て、セルフケアにつなげる)
 ○実施体制(医師等が実施者になり、事務従事者にも守秘義務がある)
 ○会社は結果が見られない(結果は実施者が保全、閲覧は本人の承諾が必要)
 ○高ストレス者は医師による面接指導が受けられる
 (面接指導の結果、指導医から事業者に処遇改善意見を提出)
 ○結果は組織毎の集計分析を通じて環境改善につなげる(努力義務)

 


 POINT2 受検率の確保

せっかくのストレスチェックも未受検の従業員が多いと、一次予防という目的に対して十分な効果が発揮できません。また未受検が多いほど集団分析の精度も低下することになります。また、職場ごとの受検率に大きなばらつきが生じることも好ましくありません。全員受検をめざし、一人でも多くの従業員が受検するようコミュニケーションを図る必要があります。

 <受検率確保のポイント>
 ○事前周知の徹底(特に自分のためであること、プライバシー保護を強調)
 ○未受検者への受検勧奨
 ○受検の「命令」「強要」「受検しないことに対する不利益な扱い」は禁止

 

 POINT3 高ストレス者へのフォロー

ストレスチェックを実施しても、その結果に基づいた適切なケアが行われなくては不完全なものとなってしまいます。このストレスチェック制度では、高ストレス該当者には、医師による面接指導が受けられることが伝えられ、実施者から面接指導の勧奨も行われます。しかし、医師による面接指導の申し出は事業者に対して行うため、自分が高ストレス該当者であることが知られる、また個人のストレスチェック結果が伝わることなどから、申し出を行わない人も多く残ることが考えられます。その中にも深刻なストレス状況を抱える人がいる可能性があり、より広いフォロー、支援の環境を整えることが求められます。

 <高ストレス者フォローのポイント>
 ○医師による面接指導の勧奨(実施者による)
 ○会社を介さず利用できるカウンセラー等の相談窓口の情報提供、相談勧奨
 ○自分でできるストレス対策、生活環境調整などセルフケア情報の提供
 ○申し出の「命令」「強要」「申し出を行わないことに対する不利益な扱い」は禁止

 

POINT4 組織改善への活用

全従業員を対象に共通の条件の下で実施するストレスチェック。これは個人の気づきとセルフケアの向上が主眼の制度ではありますが、その結果を集団的に分析し、職場のストレス環境改善に役立てることが努力義務として定められています。メンタルヘルス対策のみならず、組織活性化の観点からもこの機会を利用しない手はありません。ストレスチェック結果の集団分析を足がかりとして、さらに詳細な情報収集や実態把握をすすめ、全社を巻き込んだ改善への取り組みに活用することが期待されます。

 <組織改善への活用のポイント>
 ○集団分析の実施(職場状況の定点観測として)
 ○集団分析の結果に基づく情報収集・実態調査
 ○業務改善、労務改善、研修・教育など多面角的な施策展開

 

ストレスチェック制度導入の効果を最大限に高めるためには、導入準備にあたって以上の各点を考慮しつつ、社内体制づくり、情報共有を行うとともに、利用する外部プログラムの検討、パートナー機関の選定を進めていくことが大切です。

MMHI plus No.9<ストレスチェック制度の導入準備と体制づくり>

ストレスチェック義務化を定めた改正労働安全衛生法の施行が12月に迫る中、MMHI+Banner.png

先月15日、「ストレスチェック制度」の具体的な運用方法を定めた

省令、告示、指針、実施マニュアルが厚生労働省より公表されました。

今回は公表された内容をもとに今後、導入準備を進める上での

ポイントをまとめてみましょう

 

 

ストレスチェック制度の概要

あらためて、平成27年12月1日に施行されるストレスチェック制度の概要を確認しておきましょう。

●制度の目的

・主な目的は「一次予防」(労働者のメンタルヘルス不調の未然防止)
・労働者自身のストレスへの気づきを促す
・ストレスの原因となる職場環境の改善につなげる

●制度の枠組み

・常時使用する労働者に対して、医師、保健師等による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)
  を実施することが事業者の義務となる。 (従業員数50人未満の事業場は制度の施行後、当分の間努力義務)
・検査の結果は医師、保健師等の実施者から直接本人に通知され、本人の同意なく事業者に提供することは禁止。
・検査の結果、一定の要件に該当する労働者から申し出があった場合、医師による面接指導を実施することが
  事業者の義務となる。この申し出を理由とする不利益な取り扱いは禁止。
・面接指導の結果に基づき、医師の意見を聴き、必要に応じ就業上の措置を講じることが事業者の義務となる。
・ストレスチェック結果の集団毎の集計・分析及びその結果を踏まえた必要な措置は努力義務であるが、実施すること
  が望ましい。

●ストレスチェック制度の主な流れ

ストレスチェックの流れ2.png

 

導入に向けての第一歩 ~ 計画づくり

上の流れに示したように、事業者はまずストレスチェック制度についての方針を表明し、衛生委員会等において、ストレスチェック制度の実施方法や実施状況及びそれを踏まえた実施方法の改善等について調査審議を行わせることが必要です。その結果をふまえ、ストレスチェック制度の実施に関する規程を定め、これをあらかじめ労働者に対して周知することが求められています。


<調査審議で検討すべき内容>


 ①ストレスチェック制度の目的の周知方法
 ②実施体制 (実施者、共同実施者・実施代表者、その他の実施事務従事者の選任、明示等)
 ③実施方法 (使用する調査票、高ストレス者の選定基準、ストレスチェックの実施頻度・時期、
                        面接指導の申し出方法等)
 ④ストレスチェック結果に基づく集団ごとの集計・分析の方法
 ⑤ストレスチェックの受検の有無の情報の取り扱い
 ⑥ストレスチェック結果の記録の保存方法
 ⑦ストレスチェック、面接指導及び集団毎の集計・分析の結果の利用目的及び利用方法
 ⑧ストレスチェック、面接指導及び集団毎の集計・分析に関する情報の開示、訂正、追加及び削除の方法
 ⑨ストレスチェック、面接指導及び集団毎の集計・分析に関する情報の取り扱いに関する苦情の処理方法
 ⑩労働者がストレスチェックを受けないことを選択できること
 ⑪労働者に対する不利益な取り扱いの防止


これらの項目はそれぞれに、制度の趣旨にのっとりその要件やあるべき方向がガイドラインとして法令によって示されています。

詳細は、厚生労働省報道発表資料 、およびページ下方のリンクから「ストレスチェック制度に関する省令」、「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づきj業者が講ずべき措置に関する指針」、またこれらをベースにまとめられた「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」をご参照ください。

成否の鍵を握る実施体制づくり

この中で制度導入の成否を大きく左右するのが、②の実施体制の整備です。ストレスチェックの実施体制は以下のような枠組みで整備を進めることが求められています。

実施体制.png

事業者は、ストレスチェックを実施する義務がありますが、一方でチェックの結果や受検の有無などが労働者の不利益につながらないようにするため、人事にかかわる権利をもつ者は実施に関わることができません。

そこで重要になるのが「実施者」の選任です。ストレスチェックの「実施者」は次に挙げるいずれかの者でなくてはなりません。

 ・医師または保健師
 ・厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師または精神保健福祉士

「実施者」は実際のチェックの実施のみならず、事前の企画や評価基準の設定などにも関わります。したがって制度の趣旨から言えば、日頃から職場の保健活動に携わっている産業医や保健師などがこの実施者を務めるのが最も自然な配置と考えられます。しかし、現実には産業医の勤務状況、契約関係などから必ずしも職場の産業医が実施者を務められるケースばかりではありません。その場合、は上記要件に該当する人材を他に求めなくてはなりません。

同時に、職場の人数規模、実施方法などによっては、実施実務を補助する「実施事務従事者」も必要となります。この業務もプライバシーに関わる情報を扱うため、適切な組織、人員の確保・管理が求められます。

また、結果に基づく面接指導の申し出に対しても、職場の産業医が対応可能な場合は良いですが、産業医がすべての面接指導希望への対応が困難な場合は、他に面接指導を行う医師の確保も必要になります。

このように、実施体制づくりにおいては、すべてを社内の人員体制で行うのか、外部の人材や組織との連携で行うのか、可能な部分すべてを外部の支援機関に委託して行うのかという判断がまず必要です。

現実には、上述の検討事項の③に掲げた「高ストレス者の選定基準」のように、ストレスチェックの内容やメンタルヘルス・マネジメントに精通していないと的確な判断が難しい点があること、また実施の流れや結果の取り扱いや管理など、細かなガイドラインが設けられている場合が多いことなどから、外部の専門支援サービスの活用も有効な選択肢になるでしょう。

職場のメンタルヘルスを見つめる好機に

以上の、ストレスチェック制度の導入に先立つ事前の調査審議、それを通じた実施計画の策定と実施体制の確立が、12月の法施行に向けての準備のもっとも重要な課題と言えるでしょう。

つい「年に一度のチェックの実施」という“点”のイベントと捉えがちですが、厚労省の示す指針では、ストレスチェック制度を職場の総合的なメンタルヘルス対策の中に位置づけて、全体的な計画のもと、実施・評価を重ねて継続的に取り組むことを求めています。

実際に、ストレスチェックがトラブルの発生予防や職場環境改善に対して有効に機能するかどうかは、職場全体のメンタルヘルスへの取り組み状況・姿勢に大きく関わってきます。ストレスチェック制度の導入を、ぜひ職場のメンタルヘルスを総合的に見直す機会として捉え、健康な組織づくりに活かしていっていただければと思います。

 

MMHI plus No.8<異動・昇格の環境変化とストレス>

MMHI+Banner.png春は変化の季節です。去る人、来る人。そして異動、転勤・・・

様々な環境変化が起こります。環境変化は、時に大きなストレス要因にもなるもの。

今回は特にストレス不調のきっかけとなりやすい異動や昇格に伴う

環境変化のストレスについて考えてみましょう。

 

 

 

●多様化する環境変化のストレス・トラブル

新規入社、異動や転勤、などで人が大きく動く春。こうした環境変化への適応につまずき、会社や学校に行きたくない、という人が連休過ぎ頃から増えることから「5月病」と言われた時期もありました。しかし実際には環境変化にともなうストレス・トラブルは、時期も現れ方も実に様々です。

新入社員に関しては特に学生生活と社会人生活のギャップが大きく、大きなストレスがあります。それだけに受け入れ側でも、入社前の準備に始まり様々な研修教育プログラムなどが準備され、組織ぐるみで可能な限りのスムーズな適応への支援が行われているケースが多いと言えるでしょう。

これに対して、意外にサポートが乏しくなりがちなのが、異動や昇格などによる環境変化に直面するケースです。

 

●「質的」な環境変化の大きさに特に注意

昇進・昇格者や、実績を評価されて新たな職務に配置が変わった人々は、会社にとってさらなる活躍が期待される人材ですから、ストレスで不調に陥ることがあれば本人のダメージばかりでなく組織にとっての損失も大きくなりますので、特にケアに配慮したいところです。

中でも要注意なのは、環境の「質的」な変化が大きかった人、そして様々な変化が重複している人です。質的な変化の大きさとは、例えば技術的・専門的な職務から営業職への異動など仕事の内容ががらりと変化した場合や、技術専門職からリーダーや管理職への昇格のように、一人で自分の技量だけで仕事をして成果を上げてきた人がチームマネジメントや部下育成という全く異なるスキルを求められるようになった場合などです。

経験やスキル、知識を持ち、その点では自信やプライドがあっても、それがコミュニケーションやリーダーシップという異なるスキルの壁に阻まれて、うまくリーダーとしての成果に結びつけられないという状況が、しばしば大きなストレスリスクにつながります。

 

●ストレスの重複、本人の性格にも配慮が必要

また、地域性の大きく異なる地方への転勤、家族と離れる単身赴任などでは、仕事のみならず生活面でもストレス要因が増大する可能性があります。昇格でも、同じ職場の中での昇格と、別の職場の管理職になる場合、さらに遠隔地への転勤でコミュニケーション文化や生活環境も大きく変わる場合では、重なるストレスが大きく変わって来ます。これらの要素が極端な形で一気に重なってしまいやすいのが海外赴任です。

経験を重ね現実対応力やストレス耐性をある程度持っている人は、「新しい環境に早く馴染んでいこう」、「周りの期待に応えよう、結果を出そう」とモティベーションを高めつつ環境変化のストレスに立ち向かって頑張ろうとします。そのためついつい“頑張り過ぎ”がちになります。特に「責任感が強い」「弱音を吐かない」「人に頼らない」というタイプの人はSOSが出せないまま不調に至ってしまうリスクが高まりますので、注意が必要です。

 

●コミュニケーションを軸としたサポート体制づくりを

このような可能性を考慮して、事前の段階での適性の検討を行うとともに、異動・昇格後は、健康チェックをこまめに行ったり、上司などによる定期的なカウンセリングや、同様のポジションにいる人が相互に日常的に交流・対話できる場づくり等のサポート体制をつくることなどがリスク低減につながります。特に家族も含めてさまざまなリスクを抱えやすい海外赴任については、赴任前から赴任中、帰国後に至るまで、一貫してサポートする体制も求められます。

現在では社内SNS的なシステムを活用している企業も多く、こうしたインフラを活用すれば、客先勤務のような形態の職務や、散在する小人数の事業所で孤立しがちな管理者たちにも効果的なサポートが提供できるのではないでしょうか。

日頃から健康や生活状況も含め、何かと話しあえるコミュニケーション回路が一つあると、客観的に自分の状況を振り返ったり、問題の肥大化や先送りを回避する上でたいへん有効と思われます。

Webマガジン「MMHI plus」

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◎ 最新号

    No.10  ストレスチェック導入 成功と活用のポイント

 

◎バックナンバー  ※No.1~7はpdfでの表示となります

  No.1  新規採用者のメンタルヘルス対策

  No.2  新しい環境への適応とメンタルトラブル

  No.3  メンタルトラブル・早めの「気づき」のツボ

  No.4  心の健康、体調維持のカギを握る「睡眠」

  No.5  ストレスチェック義務化の現状と対応策のポイント

  No.6  睡眠のトラブルと予防

  No.7  ストレスチェック>具体化の方向性

  No.8  異動・昇格の環境変化とストレス

  No.9  ストレスチェック制度の導入準備と体制づくり